よあけ

よあけ (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
ユリー・シュルヴィッツ
福音館書店
売り上げランキング: 32,738

ひとや車の通る「音」によって
ひとの気配、ひとの活動のはじまりに気付く。
それがわたしの中の「よあけ」であって、
孤独な時間。

しかしこの本、静寂の詩的な美しさにぞくぞくする。
そして登場するおじいさんの表情….。
「おおきなかぶ」で佐藤忠良氏が描いたおじいさんと並んで、
たまらなく心をくすぐるものがある。

おじいさんと、まごと、ふたりが焚くたき火。
さざなみ、かえるが飛び込み、とりがなく。
においと、音と、温度を感じ取る感覚は、
「よあけ」という時間にはことさら鋭くなる。
頭の中はくもがかかったようにぼおっとしているというのに。

「よあけ」は在るものを際立たせるということだ。
おじいさんとまごの中に通う血の流れさえも感じ取れそう。
この物語の「よあけ」は、
しずまりかえって、さむく しめっているのに、
うごめくものが、ぼんやりとあたたかい。

そして最後にはやまとみずうみが魔法にかかる。
おじいさんと孫は、「よあけ」を迎えるためにここに来たのだ。

大きな1ページの中にまるく浮かび上がる「よあけ」の風景。
ことばの余白も美しい。